「安楽死」がテーマのドラマを、たまたま見る機会があって、どんなものなのか知りたくなった。ただ現実的には病と診断されて闘病生活があるわけでなく、身近にもいないので、ぼやっとした想像しかできないけど。
他の安楽死を取り扱った作品については、分割→「安楽死」がテーマの小説・漫画・ドラマ・映画など。 - 適当に優游閑適
安楽死がテーマのドラマ「神の手」を見た
2019年・5話・主演 椎名桔平「神の手」(連続ドラマW 神の手|WOWOW)
※ネタバレ含みます
ドラマの感想としては、5話で終わるので、1話で患者安楽死させて問題になってからの展開は早い。だからか最終話は、意外とあっけない感じ。
ストーリーは、椎名桔平演じる主人公 白川が末期ガン患者の家族(伯母 坂井真紀)の要望で安楽死させる。その患者のオカン(ジャーナリスト)が、殺人やと問題提起(オカンは立ち会ってなかった)。世間で話題になり非難される。
白川が記者会見して流れは変わる。法案成立したい派と反対派と、それに巻き込まれる。安楽死法案制定推進派の医者(杉本哲太)、安楽死に疑問を持つ看護師(星野真里)、安楽死法制定推進派の医療改革したい団体「JAMO」、その代表の心臓外科医(北村有起哉)、元内閣総理大臣(近藤正臣)がJAMOに指示してたり。安楽死がどうのより、安楽死させる為の薬売りたい利権が目的な人だったり。
主人公はどっちにも付かず、安楽死反対からは責められて、他の患者からは安楽死させてくれと言われたり。元総理が安楽死したいと言ったり、2~4話と揉めて安楽死法案がどうのとなって医者を辞めたりして、5話で安楽死した患者の生前映像で母に対して「(医者)責めんといてや」が見付かって、まあ解決みたいな。主人公は在宅療養患者用の医者として復帰。
感想
椎名桔平が良い。この人は顔が良いだけでなく、妙に雰囲気があって良い。安楽死した患者のオカン役が、鈴木砂羽で関西弁で文句言うから、よりきつくなって感じが悪くて、始め見ている時は息子の見舞いにも来なかったくせにと思って見てた。苦しむ姿を見るのが辛いから的なので、けして騒ぎたいだけのオカンでなく「息子が殺された」と悲しみ、尊厳死でなく「殺人や」と安楽死反対からの立場。主人公が動くというより、巻き込まれる形で進む。
安楽死は悪だ善だと断定するのも違うなと言う印象を持つ。利権が絡む人は分かりやすい動機。行き過ぎた愛護団体や環境保全団体のように、強行しようとすると目的(動物や環境)の為よりも、自分の感情で突っ走っている気がするような。
このドラマ見ている限り、末期ガンで鎮痛剤も効かん痛みにずっと耐えるぐらいならと思える。患者が高齢でなく若者の為、体力あるから死ぬこともできず痛みに耐え続ける。「一分一秒でも生きて」な台詞もあるけど、言っている人は痛くないし。(これが一番「痛い死に方、苦しい死に方」医師は本当の事は言いません(週刊現代) | 現代ビジネス | 講談社(1/4))。
原作について
原作は、小説家であり医師でもある 久坂部羊(くさかべよう)。医療系が多く、ドラマ化も幾つか。
- 第三のミス〜まず石を投げよ〜(2009年1・WOWOW・黒木瞳)
- 無痛〜診える眼〜(2015年全10話、フジテレビ、西島秀俊・伊藤淳史)見るだけで病気が分かる能力があり、犯人も分かる。
- 破裂(2015年・全7話・NHK総合・椎名桔平・滝藤賢一)老化した心臓を若返らせる治療法確率するも副作用で数か月後に破裂。現代版白い巨塔。高齢化社会とか誤診やら複雑。
椎名桔平が「破裂」でも主役。安楽死関連法案がどうのとあり、安楽死がメインでなくとも話に入っている。「医者は3人殺して一人前になる”という哲学を持つ」なキャラだけど、椎名桔平が演じると妙な説得力と信頼感がある(破裂 - Wikipedia)。
「無痛~診える眼~」はリアルタイムで見てた。伊藤淳史といえば、バチスタのイメージ。組合せで西島と伊藤は見掛けるけど、バチスタ好きからすると仲村トオルが面白い。医者ものと言うより、医者が犯人(これから犯罪犯す人)が分かるので、操作に協力する刑事ものな感じ。凄い能力だけど、何でかまでは分からない。パッと見るだけ病気が分るなんて医者からしたら便利。
「安楽死」の言葉ぐらいで良く分かってなかったけど、自発呼吸できない人が呼吸器を付けないとの違いが分かっていなかった。
安楽死には、消極的安楽死と積極的安楽死がある
人工呼吸器装着するか否かで死ぬのは「消極的安楽死」で本人の自由意志で可能(ただし感染症は法律により強制隔離・治療が義務)。延命治療を受けないとかも。患者本人か、本人が意思表示できない時は家族とか。これは殺人幇助や承諾殺人には当たらない。
事件になるのは「積極的安楽死」。「死にたい・楽にしてやって」と本人や家族から要望を受けて、医者や看護師が死なせる為に薬を投与したり、身内や他人が絞殺や刺殺したり。
本人が死を望んで死ぬだけを見ると同じけど「死ぬ為に何もしない事を選択する」と「死ぬ為に致死性の薬物服用か投与する」で言葉通り、積極的か消極的かの違い。裁判になったりするのは、本人が意思主張して安楽死させたら、家族が医者を訴えたり、見知った看護師などから情報があったり。誰も文句言わなければ表面化し難い。絞殺・刺殺は事件化して表面化。
安楽死については別記事参考
原作「神の手(日下部羊)」について
原作とは内容が違うところがあるみたい。オカンはタレント。主人公がまじめなのは同じだけど、不倫に嵌ってるみたい。「白い巨塔」は妻より愛人のが理解者だったり、普通に不倫の話が出る。
ドラマと共通して、安楽死について考えさせられるとある。
安楽死肯定否定派どちらも、単純に判断できない感じ。印象に残った感想は、「ドロドロ」「安楽死の賛否」「フェアな討論」「重い」「討論色を強めた」「賛否両面から多面的に」「腹黒い人達の争い」「延命治療の描写が生々し」「慈悲か殺人かの究極の問い」「政治的」。
ドラマ「神の手」の感想が書かれたサイト
- 神の手 ドラマの感想(椎名桔平) - ちゃんねるレビュー
- 神の手 - ドラマ情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarksドラマ
- 【ネタバレ感想】WOWOW「神の手」第1話|安楽死問題に切り込むサスペンス・WOWOW「神の手」最終話ネタバレ感想|死に方に求められる多様性の難しさ
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雑感
安楽死の話を見聞きすると、思い出すドラマがある。
「僕のいた時間(三浦春馬 主演)」、ALSの病気で自発呼吸できなくなったら、人工呼吸器を装着するか否か判断しなければならず、その話中で装着しない選択をした患者もいて、付けない=死ぬだから、死ぬか生きるかの選択に。テレビやドキュメンタリーに出演する人は前向きな印象が多いけど、実際は装着しないを選択する人が多いと聞く(医者のコメントで見掛けた)。
去年放送の「大恋愛〜僕を忘れる君と(戸田恵梨香 主演)」で若年性アルツハイマー病になった主人公は最終話で誤飲性肺炎で亡くなる(お年寄りに多いイメージだけど、実際に良くあるらしい。心理的原因でうまく嚥下ができなくなるからだとか)。この二つのドラマは時期は違うけど、対比的に見てた。頭はしっかりしてるけど身体が動かなくなるのと、身体は動くけど脳の神経細胞が徐々に減り正常に働かなくなる。ムロツヨシが相手役だから明るいラブストーリーと思ったら違った。
安楽死の感想で賛否が分かれるのは、「死にたいから死ぬ」自分の希望が叶うと取るか、「障碍者・病気になったら死なないといけない」と周りからさせられると取るかで、安楽死自体の意味合いが変わる。誰も死なないといけないと言っていないけど、そう読み取ってしまうと周りを気にする人にはしんどい内容に。
「安楽死」がテーマの小説が幾つか出版されているけど、関連性が高い職業ということで、医師でもある作家が目立つ。単純には決められない問題。
途中で、簡単に手を出したら駄目なテーマと気付いた。「ドラマ見た。ちょっと書いてみよ」と気軽に始めたから、尊厳死がどうたら、法案がどうの、倫理がどうので内容的に気軽なこと書けなくなった。
安楽死について関連する記事。
※2021/11 追加・修正